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48話

ブルー

暖かく甘い香りの空気が、飛行機から降りた瞬間に私を包み込む。

「どこなの?」私はアルテミスに尋ねる。

彼はすでに地面に立っていて、私の声に顔を上げる。

「フィジーだ」彼は簡潔に答える。

黒いスーツを着た男性がアルテミスに近づき、二人は話し始めるが、私はあまり気にしていない。目が一点に留まらないほど、周りの景色に魅了されている。ヤシの木が至る所にあり、空気は花と海の香りがする。今まで見たことも嗅いだこともない、この場所に比べられるものはない。アルテミスが私たちを本当にフィジーまで連れてきたなんて信じられない!

待って、私はパスポートを持っていないのに、どうやって?

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