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772話

ハーシェルは今日、ナサニエルを単に飲みに誘っただけではなかった。彼は別のことを考えていた。

彼の視線はナサニエルの隣のバッグに落ちた。「ねえ、お金持ってきた?」

「もちろんさ。君はめったに何も頼まないから、断れるわけないだろう」ナサニエルは答え、バッグを手渡した。「中に10万ドルある。銀行から下ろしたばかりだ。一セントも多くも少なくもない。おばあさんがもっと必要なら、言ってくれればいい」

彼は付け加えた。「俺たちの間では、借りるとか言う必要はない。返せるなら返せばいいし、無理なら気にするな」

ハーシェルはバッグを受け取り、一瞬躊躇した。

ジッパーを開けたら、もう後戻りはできない。

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