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716話

「どんな方法でも私を罰していい。構わない。でも、デジレー、お願いだから、私を無視しないで」ハロルドは声を震わせて懇願した。

彼はこれまで誰に対してもここまで自分を卑下したことはなかった。最も厄介な顧客でさえ、彼をここまで追い込むことはなかった。デジレーだけが彼にすべてを捨てさせることができたが、彼女を失うこと?それは耐えられないほど辛かった。

デジレーはただ立ち去りたかった。しかしハロルドの声を聞いて、彼女の目は涙で一杯になり、足が地面に釘付けにされたような気分だった。

彼女は頭を振った。ハロルドを振り返る勇気はなかった。もし振り返ったら、二度と離れられなくなると恐れていた。

「ハロル...