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653話

ダリルは顔を曇らせながら一歩前に出て、デジレの額に手の甲を優しく当てて熱を確かめた。

感じた灼熱の熱さに、彼の表情はさらに険しくなった。

彼は手を引き、家族のかかりつけ医に電話をかけようとしたが、突然デジレが彼の手のひらを掴んだ。ダリルは少し驚き、見下ろすと彼女が彼の手を握っているのが見えた。

ブリンと助手は二人とも横から見守っており、部屋は気まずい沈黙に包まれていた。

ダリルの唇が微笑みを形作り始めた瞬間、デジレは彼が嫌う名前をつぶやいた。「ハロルド」

ダリルは即座に手を引き離した。

「フィールズさん、チャップマン先生を呼んできます」と助手は素早く言った。

ブリンは部屋を出る口...