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832話

「ザビエルの姫君?」南宮は突然振り向いた。

「若様が他の方と話していた時におっしゃっていたことです」侍女は頭を下げた。

「わかった。下がっていいぞ」

「はい、ご主人様」

侍女は頭を下げて退出した。

南宮は衝撃を受け、赤い唇を噛んだ。「あの奥様がザビエルの姫君だって?だから兄上が彼女を欲しがるわけね...」

奥様がザビエルの姫君なら、皇帝は知っているのだろうか?と考えた瞬間、彼女の表情が急変した。「そうじゃない。もし若様が知っていたら、何があっても彼女を連れ戻すはず。ザビエル国まで彼女を探しに行くかもしれない」

しかしアマンに見つかるのは時間の問題だった。

だが今、兄は姫君と一緒...