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84話

翌朝、ヘンリーが出勤の準備をしていると、使用人がアーティザンズ・ヘイブンから二つの品物が届いていると伝えてきた。

カフスボタンを留めながら、ヘンリーは尋ねた。「どこにある?」

使用人が二つの高級紙箱を持ってきて、それを階上に運ぼうとしたが、ヘンリーは「私が持っていく」と言った。

彼は箱を階上に持っていき、そっと開けた。品物は修復され、きれいに整えられていたが、ドノヴァンが言った通り、どんな技術も過去の記憶を修復したり、グレースの言葉を取り戻したりすることはできなかった。

日記の半分はグレースの情熱的で可愛らしいメモで埋まっており、残りの半分は空白だった。

ヘンリーの指がその言葉を優し...