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568章ヤコブとセラフィナの結婚式5

夜になり、イサドラはセラフィナの部屋に入った。

セラフィナはまだ起きていて、机に向かい、丹念に刺繍をしていた。その作品はマーベル・アートギャラリーから依頼されたもので、彼女はすでに二年もの歳月をその創作に捧げていた。

イサドラは軟膏のチューブを手に、戸口に佇み、黙って妹を見つめていた。

こうして立ち尽くし、妹が針仕事に没頭する姿を見守った夜が、一体どれほどあっただろうか。傷つくたびに、妹がこうして刺繍に逃げ込むことを彼女は知っていた。――おそらく、その繊細なステッチの中に、セラフィナは自分だけの平穏な世界を見出しているのだろう。

やがてセラフィナが手を休めたのを見計らい、イサドラは近づ...