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第515章オクタビウス:エルズペスの父を演じたいと熱望する人もいる

サラの心は悲しみに沈んでいた。

二日後、彼女は自らカリオペの屋敷へと足を運んだ。ひとつには、例の品物をカリオペの手に渡すため、もうひとつには、エルスペスに会うためだった。

サラは馬車の後部座席に座っていた。三十分ほど走ってもカリオペの邸宅に着かないので、彼女は御者に尋ねた。「どうして遠回りをしているのですか?」

御者はバックミラーに穏やかな笑みを浮かべた。「この先、道路工事でして。かなり長い迂回路を通らなければなりません。このあたりはシャドウベール山脈の麓でしてね――まだ早春ですが、景色はなかなかのものですよ。あちらをご覧になれば、梅林がございます」

シャドウベール山脈。

サラは息を...