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第503話ニコラス:時々、本当に嫌いになる!

エバーグリーン市拘置所に、夜の帳が下りていた。

鉄格子のある窓が、かつての主人と使用人を隔てていた。

マシューは差し出された煙草を受け取り、震える手で火をつけ、深く吸い込んだ。彼はアーロンを見つめ、言った。「アーロン、昔はこの銘柄を、ガラが悪い連中が吸うものだと見下していたんだ。まさかお前に一本恵んでもらうことになるとはな。時代も変わったもんだ」

青白い煙が宙に満ちた。

彼が咳き込んだ。

習慣からか、アーロンは気遣う言葉をかけた。「お身体、ご自愛ください、旦那様」

マシューの表情が険しくなった。「アーロン、まだ忠実な使用人を演じているつもりか?うまく隠していたが、今となっては分かる...