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38話

グレースはヘンリーが浴室に向かう間、頭が霧のようにぼんやりしていた。

やがて、流れる水の音とヘンリーの低くかすれた声が浴室から響いてきた。

すべてのことがあったにもかかわらず、大人の女性であるグレースは、ヘンリーがそこで自分自身の世話をしているのだろうと考えた。

二十分後、ヘンリーは真っ白なバスローブ姿で現れた。襟元は開き、引き締まった胸に水滴が光っていた。

動じる様子もなく、ヘンリーはベッドサイドに歩み寄り、まだショック状態のグレースを見つめて立ちつくした。

しばらくして、グレースは彼を見上げた。

彼女の目は赤く、涙でいっぱいだった。三年間耐え続けてきたとしても、どんな女性も夫か...