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106話

ヘンリーは階段を上がったが、グレースは寝室にはいなかった。

彼は一瞬立ち止まり、そして三階へと向かい、練習室のドアを開けた。

案の定、グレースはそこにいた。

バイオリンは床に置かれ、グレースは絨毯の上に横たわっていた。彼女の姿は、彼女の混沌とした人生と同じように乱れていた。

ヘンリーの胸が締め付けられた。

彼は静かに歩み寄り、膝をついて言った。「旅行に行かないか？どこでもいい。ハネムーンに行きたいと言っていたじゃないか？ここでの用事が済んだら、一ヶ月ほど行こう」

バイオリンを撫でていたグレースは、ようやく口を開いた。「ハーモニーシティに行きたい」

ヘンリーは彼女が明日のギャビンの...