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19話

<第19章:春の心>

ジャンナは眉をひそめた。「『ハーツ・デザイア』は販売用ではないと伝えなかったの?」

彼女はそのドレスをフェイスへの誕生日プレゼントとしてデザインしたが、忙しすぎて取りに行く時間がなかったのだ。

「伝えましたが、お客様はアスター家のジャスミンさんです。彼女は『ハーツ・デザイア』の購入を主張し、必要なら定価の10倍でも支払うと言っています。アスター家を怒らせるのが怖くて、どうすればいいか分からなかったんです」

ジャンナは一瞬考えてから、冷静な態度で答えた。「彼女には店内の他のドレスなら何でも選んでいいと伝えて、それは当店からのプレゼントにするわ」

「分かりました。対...