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91話

ジェシカ

うめき声を上げながら目を覚まし始める。隣からの不快ないびきで頭がズキズキする。目を開けたくない。二日酔いがひどくなるだけだとわかっているから。代わりに、シナモンと清潔な洗濯物の香りがする暖かい掛け布団にさらに深く身を埋める。昨夜何が起きたのか思い出そうとするけど、薬で黒くなった記憶の間に小さな光が見えるだけ。パーティーは狂ったように楽しかった。少し羽目を外しすぎたかも。でもどうでもいい、トラビスは私を監視していなかったんだから、思い切り楽しまない理由なんてなかった。トラビスがルーへの愛情を失っていく過程を上手く始められたことを祝う必要があったんだ。トラビスがなぜ私に夢中なの...