狼なき運命の出会い

42話

トラヴィス

なぜ他の誰もが出勤する2時間も前から、私はここで働いているのか？それはルーがジェームズの腕に飛び込む姿と「ハニーケーキ」という言葉が頭から離れないからだ。そもそも「ハニーケーキ」って何だよ、そんな愛称。馬鹿げている。遊び人の従兄弟のことを考えると、誰かが彼を「ハニーケーキ」と呼ぶ姿は想像できるが、ルーの口からその愛称が出てくる場面を想像すると、頭が爆発しそうになる。数秒間、呼吸の仕方さえ忘れていたところで、私のベータであるサミーが精神リンクしてきた。

「ボス、許可のない訪問者がいます」

「誰だ？」

「従兄弟のジェームズさんです、ボス」

私は即座に立ち上がり、他のオ...