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チャプター 203

ジェームズ:

「お前が言ってた通りだったよ」俺は静かに言った。

「何のこと?」彼女は瞬きをして、それから俺の方を向いた。

「月の女神だ」

「会ったの?」彼女は驚きに目を見開いた。その瞬間、今朝のマティの驚いた顔を思い出した。

「儀式の最中、魔女が俺の手を切り裂いた時、女神が現れたんだ」その記憶が胸を締め付け、俺は息を整えた。トラヴィスにさえ、あいつらがドアを蹴破って入ってくる前に何が起きたのか、その全てを話してはいなかった。口に出してしまえば、それが現実になってしまうような気がしたからだ。今それを口にするのは、治りかけの傷口を刃物でなぞるような感覚だった。七ヶ月経って、ようやくそれを受け入れら...