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第190章

ジェームズ

「また来たのか?」カストルと今は知っているその男は、『運命の輪』クラブのVIPブースの入り口に立っていた。いつ見ても、彼はぴっちりした黒のジーンズだけを穿き、ベルトのバックルには様々なタロットカードのシンボルがごちゃ混ぜにデザインされていた。ほとんど覆われていない胸は、魔術的な起源を持つとしか思えないタトゥーで埋め尽くされている。二日前の夜、その刺青に何か意味があるのかと尋ねたが、彼は笑って立ち去るだけだった。彼の兄弟であるポルックスも同じくらいおしゃべりで、唸り声と目つきだけで全ての語彙を表現する始末だった。あの女神の女を見かけて以来、俺たちは毎晩このお決まりのやり取りを繰り返...