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チャプター 185

マティ

エンジンが咆哮を上げ、私をスリルが包み込んだ。私は特に車好きというわけではなかったけれど、この掌握した力には我を忘れるほど興奮した。このコルベットの走りは、まるで夢のようだった。その咆哮は、あの金髪の男に関するあらゆる思考を吹き消し、まったく異なる種類の興奮で私を満たしてくれた。それは、ただスピードから生まれる興奮ではない。これほどパワフルで、これほど精巧に作り上げられたマシンのハンドルを握るという、純粋な喜びから湧き起こる興奮なのだ。エンジンの脈動には自由が感じられた。この車は、どこへだって行きたい場所へ、望むままの速度で連れて行ってくれるために作られたのだという感覚。スパから離れ...