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チャプター 169

マティ

シナモンの甘い香りが家中に漂っていた。私はアーチ型の入口を抜けて、モダンな工業的デザインのキッチンへと足を踏み入れた。ステンレスと黒い御影石の美しいコントラストが、まるでプロのシェフ番組に出演しているかのような気分にさせてくれた。ゆったりとした訛りのあるバラードが、部屋中に戦略的に配置されたスピーカーから流れていた。従兄弟は「見た目と同じくらい料理も上手い」と書かれたエプロンを身につけ、アイランドカウンターの向こう側に立っていた。私はくすりと笑いながらカウンターに身を乗り出し、「やあブサイク、何作ってるの?」と声をかけた。

キャスの顔は不満そうに歪んだ。彼はヘラでグリドルの上...