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憧れの味

何気なくそう呟き、プレストン自身も一瞬ためらった。同時に、ハーパーはその場で呆然と立ち尽くしていた。彼はソファの方を向いていたので、彼女の姿が見えるはずもなかった。

ハーパーは俯いた。かつて一緒にいた頃、二日酔いで目覚めたプレストンが最初に口にするのは、決まって二日酔いの薬を求める言葉だったことを思い出す。彼に薬を飲ませて胃を楽にさせてあげるのが彼女の習慣であり、その世話に頼るのが彼の習慣だった。だからこそ、あんな言葉を呟いてしまったのだろう。

一瞬ぼうっとしていたプレストンは、やがて自嘲気味に笑った。ハーパーはもう自分に注意など払っていない。ましてや世話を焼いてくれるはずがない。虫のいい話だ...