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519話

グリフォンは毛布に包まれた女性を見た。一本の指だけが露出していて、彼の唇に笑みが浮かんだ。

「こっちに来て」

ターヤは恥ずかしがり屋だった。だからこそ彼は彼女に近づくよう頼んだのだが、彼女は逆に彼に来るよう求めた。もし彼女が向こうへ行けば、自分から誘っているように見えてしまう。それは彼女の望むところではなかった。

「あなたがこっちに来て」

彼のまつげがわずかに震え、彼は彼女を抱きしめたい衝動を抑えて、頭を下げ、何事もなかったかのように服を着続けるふりをした。

ターヤは彼がベルトを締めようとしているのを見て不安になった。彼女は毛布を持ち上げ、急いで彼の腰に抱きついた。

「あなたが私に先に動くよう...