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372話

グリフォンの落ち着いた声がタヤを安心させた。彼女は彼に頷き、病室に足を踏み入れた。

病院のベッドに横たわる男は血まみれで、シーツと毛布が赤く染まっていた。

医師はきっと彼を助けることができないと宣告したばかりで、まだ彼を清潔にする時間がなかったのだろう。

脇に座っていたジョージは、アモンの手を握りながら嘆き悲しんでいた。

「アモン、君を救えなかったことを謝るよ。本当に申し訳ない…」

ジョージの言葉を聞いて、タヤの目は赤くなった。

ベッドの上の血まみれの光景を見たとき、彼女の姉のウルフスピリットが痛みで脈打つのを止められなかった。

彼女は胸に手を当て、硬直した足取りでアモンに近づい...