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364話

カサレが映画館のドアを蹴り開けると、照明が即座に明るく灯った。

軍用ブーツを履いた彼は、階段に沿って一歩一歩アモンに近づいていった。

革手袋をはめた手で前列の座席のボタンを押す。

ゆっくりと回転した座席に腰を下ろし、カサレはアモンを見上げた。

「お前も気づいていたはずだ、お前が投獄されたのは全て私の仕組んだことだとな」

アモンは思考を中断し、鈍い目をゆっくりと上げてカサレを冷たく見つめた。

「アランは子犬の頃からお前に優しくしていた。彼はお前の兄とも言えるだろう。なぜ彼を殺した?」

「私の邪魔をする者は誰であれ死ななければならない。それが兄弟であろうとなかろうと関係ない。そもそも彼は血の繋がっ...