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268話

ティファニー

私は助けたかった…本当に助けたかったのだけど、グルティア自身からの直接命令は街を自滅させるというものだった。タワー3の頂上から、街が自らを地面まで焼き尽くしていくのが見えた。煙は山々を越えて立ち上り、普段は白く薄い山頂がすすで霞んでいた。

何もできないことが憎かった。下に降りれば、通りを徘徊する暴徒たちが石を投げつけるか、もっとひどいことをするだろう。教会の地元の司祭たちが人間に聖水を浴びせかけ、抵抗すれば、それだけで彼らが超自然的な存在であることの「証拠」になると聞いた。

確かに、聖水は人間の肌には影響しないが、濡れたくない気持ちもわかる。それに少し屈辱的でもある。友人や家...