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172話

私は心臓の鼓動が激しくなるのを感じながら、ゼルダの部屋へと彼女について行った。エレナも一緒だった。彼女に戻るよう頼むこともできたけれど、彼女は今や私の友達だった。私が今まで持った唯一の本物の友達。その関係を台無しにしたくなかったし、それに、彼女は私がこの状況を元に戻す手助けをしてくれるかもしれない。

ゼルダは何かが燃えているかのように歩いていた。そして多分、実際に何かが燃えていたのだろう。それは私のこの世界での時間だった。スイッチに触れるだけで全てが元通りになるというわけではないのだ。

彼女の背後でドアが閉まった瞬間、ゼルダは頭上で手を振りながら何か言葉をつぶやいた。

「沈黙の呪文?」ゼ...