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107話

アクセルが人間の町へと車を走らせる間、彼の手は私の膝の上に何気なく置かれていた。後ろではケインが私の席の背後から髪をいじくり回していた。

「こっちに来てもいいんだぜ?」彼が私の耳元でささやくと、全身に震えが走った。

「彼女を放っておけよ、プリンセスを緊張させてるだろ」アクセルが彼に向かって苛立たしげに言い返すと、私は笑った。

「わかったよ、こっちに来ないなら、放っておかないからな」彼は脅し、その言葉通り、レストランに着く頃には私の髪はボサボサで、あまりの笑いでマスカラもにじんでしまっていた。

そのレストランは高級で上品な場所で、数ヶ月前の私なら近づくことさえ想像できなかったような場所だ...