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296話

マービン

私は最上階までエレベーターで上がり、ティアゴの療養室へ向かった。「出ていけ」とドアを見張っていたメイドに告げた。彼女の唇は恐怖で震えていた。「ですが、お母様から指示を受けておりまして—」

「俺が母に見えるか?」

女性は激しく首を振り、一言も言わずに立ち去った。こんな態度をとりたくはなかったが、ティアゴのためにやっているんだ。彼を失わないためにやっているんだ。

息を止めながらワゴンを押して部屋に入った。その匂いは拷問のようだった。

「サンティアゴ」

ティアゴはいつもの場所、ベッドの隅に座り、顔を上げて私を見た。彼の目は鈍く、生気がなかった。「マービン」

彼は哀れな声で、私...