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172話

「信じられない、シエナ?」と私は車を発進させながら不満を漏らしたが、いつもの彼女のおしゃべりが聞こえず、彼女が一緒にいないことにすぐ気づいた。

素晴らしい。シエナとさえ話せない。クリスチャンにもっと関わりたいと言ったとき、私の意図はこれではなかった。クリスチャンの仕事をしなければならないせいで、家族との時間さえ楽しめないなんて。

とはいえ、不満ばかり言っていられない。ダリオに会うことにはメリットもあったし、私たちを助けるために父親を見捨てた友人の様子を確認することに異論はなかった。ダリオは私に会ってどう感じるだろう?

しばらくして、ようやくモーテルに到着し、目的の部屋へ向かった。ドアをノ...