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72話

キティは里親機関のドアから出て、深呼吸をした。今日は彼女の人生で最高の日だった。十八歳の誕生日を迎え、ようやく里親制度から卒業したのだ。リュックに入った数着の服以外何も持っていなかったが、これまで感じたことのない自由を初めて実感していた。

通りを歩きながら、彼女は何の心配もなかった。キティはどこへ向かうのか分からなかったが、どこであれ、それは他の誰でもなく自分自身の選択によるものだった。彼女は路上での生き方を知っていた。五歳の頃、食事をろくに与えてくれない家庭で暮らしていた時から、スリや窃盗をしてきたのだ。

キティはこれまで彼女を優しく扱ってくれた里親家庭もあり、そういう家を離れる時は胸が...