「キャット、怖がらないで。ただ君を慰めたいんだ。悪夢から守るために、眠るまで抱きしめていさせて」トレイは彼女の恐れを感じ胸が痛んだが、彼女を腕の中で安心させようと決意を固めていた。彼女は運命の相手なのだ。もう二度と誰にも傷つけさせない。

「今夜だけよ、トレイ。それ以上は許せない」キャットの声は震えていたが、彼の体の温もりが心地よすぎて、拒絶する気にはなれなかった。

「キャット、今まで誰かに抱きしめられたり、愛情を示されたことはないのか？」

「ええ、二十年近くないわ」

キャットは看護師として働く人間の女性。過去の因縁から、復讐を企む者に追われている。トレイは彼女の警護を任された刑事だが、実は獅子の人狼で、彼女は運命の相手だった。

トレイは、彼女を傷つけようとする者から大切な運命の相手を守り抜けるのか。

そして、痛みしか知らないキャットは、彼の愛を受け入れる心を開くことができるのか。


ワーライオンシリーズ

キャットとトレイは手紙を読むために家に帰ることにした。ヴァレリーは二人宛てに一通の手紙を書いていたが、二人ともそれを読むことは気が進まなかった。ヴァレリーを失うことは母親を失うようなものだった。キャットは母親と過ごした時間が短く、トレイの母親は母親と呼べるような存在ではなかったため、ヴァレリーは二人が若い大人として出会った時からその役割を担ってくれた。彼女は六十年近く二人の人生の一部だった。
家に着くと、二人は家族の集まる部屋に向かった。それはヴァレリーが二人と一緒に住むようになってから、彼女のお気に入りの場所だった。壁には家族の写真が飾られていた。それは何年も前にキャットとトレイがグループ...

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