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第783話肝心なことに触れる

ライラは一瞬、セシリアを信じてしまった。

セシリアには、言ったことを信じさせるような、そんな不思議な力があるようだった。

また自分を弄んでいるだけかもしれないと分かっていながらも。

セシリアは決して強引ではなかった。

落ち着いた、焦らない口調で言った。「考えてみて。急ぐ必要はないわ」

そう言うと。

セシリアは優雅に背を向けて去っていった。

今ここで自分が何か言えば言うほど、ライラは反発するかもしれないと、彼女はよく分かっていた。

彼女自身に考えさせる方が得策だった。

ライラが理解したかどうかはともかく、彼女はただセシリアにアラリックのもとを去ってほしかったのだ。

そのセシリ...