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第778話ライラの到着

ダシエルはセシリアとセオドアを見送った。

ロックハート・グループの階下、エントランスにて。

ダシエルは自ら、恭しく彼らのために車のドアを開けた。

セオドアはまだダシエルに対して偏見を抱いていた。ロックハート・グループを渋々彼に引き渡したのだから、いい気がするはずもない。

だが、車に乗り込むその瞬間。

セオドアはダシエルの肩を力強く叩き、重々しく言った。「あとは頼んだぞ」

ロックハート家の事業を、君に託す、と。

ダシエルは重々しく頷いた。

胸に重圧を感じたが、黙っていることしかできない。

セシリアはそれを聞いて、再び目を赤くした。

『どれほど追い詰められれば、敵にこんな言葉を...