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第700章混沌とした状況 (5) 逃した

「何をしている?」

ダシールは一瞬、気を取られた。

中庭の門に立っていた衛兵が、ダシールに向かって叫んだのだ。

ダシールは驚いたふりをした。

「すみません」と彼は言った。

そして、素早く立ち去る準備をした。

「待て!」彼に叫んだ衛兵が、突然呼び止めた。

ダシールの表情がこわばる。

その瞬間、彼は立ち止まった。

「なぜ一人なんだ?もう一人はどこにいる?」衛兵は尋問した。

彼はダシールを値踏みするように見てもいた。

しかし、衛兵と巡回兵は二つの異なる系統であり、衛兵の方が地位は上だ。

当然、彼らは巡回兵をあまり尊重していなかった。

「今日、当番中に相方が腹痛を起こしまして...