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572話

ペネロペはいつもダシールはただの普通の男だと思っていた。

彼はとても弱々しく、無関心に見えた。ペネロペは、ダシールがこれほどの強さを持ち、並外れた存在だとは想像もしていなかった。

今日、ダシールは黒いマスクをつけていた。ペネロペが彼をよく知らなければ、間違いなく彼だとは分からなかっただろう。彼女は今までずっと疑っていた。結局のところ、彼はあまりにも強く、ペネロペは彼が普通の人間であるはずがないと思っていた。

彼女は彼が傭兵や超一流の暗殺者などではないかとさえ疑っていた。しかし今、目の前に立つダシールを見て、彼女は完全に確信した。それは間違いなく彼だった。彼女は彼が一歩一歩歩いてくるのを見...