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517話

セシリアはアラリックの部屋で午後をすべて過ごしたが、何も見つけられなかった。

彼女はドアを開けて外に出た。

アウグストゥスが外で待っており、彼女が隠しきれない失望を見て取った。

「何も見つからなかった?」アウグストゥスが尋ねた。

「何もなかったわ」セシリアは答えた。

アウグストゥスは黙っていた。

「誰も来なかった?」セシリアが尋ねた。

「ええ」

セシリアは目を細めた。「ここを出ましょう」

「わかった」

彼らがエレベーターのボタンを押そうとした瞬間、ドアが開いた。

一人の高齢者が出てきた。

高齢者はセシリアとアウグストゥスを見て、彼らを知らないと気づいたようで、通り過ぎた...