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449話

セシリアは小さな笑い声を漏らした。

アラリックの名前が出るたびに、彼女の心は小さな幸せのダンスを踊るのだった。

ドミニクとはこのような燃えるような恋愛感情を感じたことがなかった。

彼女はただ、伝統やそういったものがあるから結婚に同意しただけだった。結婚したら一生のことだから、全力を尽くすべきだと考えていた。

深く考えることもなかった。

今振り返ってみると、当時の自分はとても純粋だったと感じる。

「セシリア」ダシエルは彼女を空想から引き戻すために、名前を二度呼ばなければならなかった。

セシリアはすぐに現実に戻った。

「何を空想していたの?」ダシエルはからかった。

「何でもないわ...