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372話

夜は異常に暗かった。

ハーバーベールはセレノビア・シティのような夜の賑わいはない。月明かりもなく、ただ辺り一面が漆黒に包まれていた。

セシリアはアラリックの胸に寄り添い、彼の力強い心臓の鼓動を感じていた。

アラリックがいなくなったとき、彼女が一週間も眠れなかったなんて、誰が想像しただろう?

セシリアは彼がいないと何かが違うと感じていた。

彼女はアラリックに腕を回し、それで彼は緊張した。

セシリアはすぐに後悔した。

彼女は誘惑するような真似をするべきではなかったと思った。

これはすぐに悪い方向に進む可能性があった。

でも、もう遅い。

アラリックは彼女を引き寄せ、彼の唇はすでに...