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318話

運転手はセシリアに何度も確認したが、彼女は目的地に固執し、ようやく車は走り去った。

セシリアは携帯電話のライトの光だけを頼りに中へと足を踏み入れた。

彼女の前に広がっていたのは、明らかに激しい火災によって荒廃した廃墟の光景だった。

工場のほぼ全体が骨組みだけになっていた。

セシリアは慎重に中に入った。

午後11時を過ぎていた。

花火工場は市街地から離れた田舎にあった。周囲の闇は夜に不気味で恐ろしい雰囲気を加えていた。

怖くないと言えば嘘になる。

特に今日ここで多くの命が失われたことを考えると…

その考えはセシリアを震えさせた。

彼女は自分を奮い立たせてさらに深く進み、工場を...