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76話

私はまだ手にダスターを持っていた。

静かで人気のない廊下に辿り着くまで走り続けた。近くの壁に寄りかかり、酸素不足の肺を落ち着かせるため深呼吸をした。視線は手に持ったダスターに落ちた。その端に少しの血が付いているのを見て、再び罪悪感が胸を刺した。下唇を苦悩で噛みながら、じっとそれを見つめ続けた。彼のウインクする顔が目の前によみがえり、さらに罪悪感を強めた。次の授業の終わりを告げる鐘の大きな音が鳴り響き、私はまた身震いした。私はそこにずっと座り込み、授業をさぼっていた。すぐに生徒たちが教室から出てくるのを見て立ち上がった。次の授業の教科書を取るため、ロッカーに向かった。ロッカーを開け、その中にダ...