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29話

「彼を信じています。」

おばさんは私の顔を見て理解したように頷いた。私の口から出た言葉を聞いて嬉しそうだった。その後、私は席を外してゲストルームに滞在しているエラのところへ向かった。もう以前の自分に戻ると決めていた。普通に振る舞うことにしたけど、私の新しい「普通」にはアゼルは含まれていない。変わりつつある感情をコントロールできるようになるまで、彼のことを聞きたくも話したくもなかった。

彼はずっと私の心の中にいる人だった。純粋で傷ついた心を癒すには少し時間が必要だ。彼への愛は何年もの間、私の心の中で育まれてきたもの。彼を頭から追い出すには時間がかかるだろう。でも自分に約束した。いつか初恋の人...