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第二十三章

「失礼します、入ってもよろしいでしょうか?」

ノックの音が聞こえても、彼は私の唇を吸い続ける。私は彼の口の中で呻いたが、彼が私を離す気配はなかった。引き離そうとすると、彼は私の髪に手を差し入れ、まるで花から蜜を吸うかのように、さらに深く唇を貪ってきた。私を離してと彼の胸を叩いても、この独占欲の強い獣はまだ満足していないようだった。

「アゼル様」彼が応じないと、彼女は再びノックした。私は彼の上腕を強くつねった。その瞬間、彼はようやく私の頭から手を離し、顔を引くことを許してくれた。彼が呻いたのは、つねられた痛みからではなく、私が顔を離したことに対してだった。

「ドアのところに彼女が」私は怒っ...