ライカン王子の子犬

85話

バイオレット

カイランは横に寄り、彼女を中に入れてやった。彼女は手に袋を持っていて、私の荷物が入っていると思われたが、表情はまだ困惑していて、明らかに説明を待っていた。

「おはようって言ったんだけど」とカイランは沈黙を破るように呟いた。

トリニティは目を見開いて彼を見た。「ごめんなさい」と彼女は言い、必死に視線を上に保とうとする様子がほとんど滑稽だった。「おはよう」

カイランは鼻を鳴らし、クローゼットの方へ向かった。「着替えてくる」と言って立ち去った。

トリニティはカイランが見えなくなるまで目で追い、それから息を吐いた。「うん、ちょっと混乱してる」と彼女は言い、袋を私の方へ投げた。私...