ライカン王子の子犬

80話

「カイラン！」私は懇願した。「あなたが今怒っているのは分かるわ、彼女を傷つけたいのも分かる。でも、やめて」

彼が鋭く息を吸い込むのが聞こえた。「どうして君は——」

「聞かないで」私は彼の手首をきつく握りながら遮った。「お願いだから——馬鹿なことはしないで」

「でも彼女は君を傷つけたんだ、ヴァイオレット」彼は冷たく言った。「未来の王である俺をも侮辱した——故郷なら誰でも結果を受け入れなければならない」

「ダメ」私は頭を振り、彼の手首に触れる自分の指が震えるのを感じた。「お願い、私のそばにいて、お願い…」

私が望んでいたのはネイトを守ることだけ。二人が私のせいで争うなんて望んでいなかった...