ライカン王子の子犬

67話

バイオレット

乗車中は静かだった。

カイランの視線は前方の道路に釘付けで、私が座席でもじもじしながらシャツの裾をいじり、何か言葉を探していても、彼は一度も私の方を見なかった。

「ねえ、ちょっと思ったんだけど…」私が切り出すと、今度はカイランがちらりと私を見て、眉を上げた。

「あの小さな友達、元気にしてる？」私はいつものように彼の反応を試すように尋ねた。

彼はいつものカイランとして反応するのか、それともあの優しいバージョンになるのか？

彼は小さく笑い、唇が微笑みに変わった。「リスのこと？」

私はうなずき、彼の笑顔に応えた。

「あいつ、俺の部屋でかなりくつろいでるよ」彼が笑う声が私...