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63話

〜その朝〜

カイラン

授業の準備をしていると、ベッドの端に髪留めが落ちているのに気づいた。それを拾い上げ、思わず笑みがこぼれた。パピーは1時間前に大急ぎで出て行ったんだ—そして、それは多分良かったことだ。彼女が出て行くところを誰かに見られるのは避けたかったから。

噂が広まれば、次に起こることは彼女が俺のメイトだと皆が思い込むことだ。そうなれば—もう終わりだな。俺は自分のためだけじゃなく、彼女のためにも考えていた。

昨夜のことが頭から離れない。あらゆる瞬間が頭の中で再生される。彼女の感触の良さ、俺にしがみついていた様子、彼女の味、そして俺の腕の中で崩れ落ちる時に漏れた柔らかな喘ぎ声。

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