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52話

「お前!」

「私?」

「お前を見ているのではないか?」

「いいえ...閣下...指揮官」私は言葉につまずき、その場から消えてしまいたいと思った。

彼は眉を上げた。「閣下か指揮官か?」

部屋は静まり返り、私は答えを考えようとした。どちらが正しいのだろう?

「閣...閣下?」私は試しに言った。

彼の視線が私に留まる間、私は下唇を噛んだ。「挨拶はしないのか?」

なるほど、それが問題だったのか。

「こんばんは、閣下」私は素早く答え、二度とこの人への挨拶を忘れないよう心に留めた。

ヨルン指揮官は満足げに笑うと、さらに歩き進め、一言も発せずに部屋の中を行ったり来たりした。彼の目はグルー...