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第二百五十章

ヴァイオレット

カイランはバルコニーのちょうど真ん中にブランケットを広げてくれた。涼しい夜気が肌を撫で、空の星々はまるで私たちのためにだけそこにあるかのように感じられた。

私たちは並んで横になり、私は彼の胸に頭を預けた。空を見つめる彼の、落ち着いた呼吸に合わせて胸が上下している。

私の目は星には向いていなかった。カイランと、その顔に浮かぶ優しい微笑みに注がれていた。彼は私を安心させよう、私がヴェールで見たものをちっぽけで遠いことのように感じさせようと、一生懸命になってくれていた。でも、それがそうではないことを私は知っていたし、彼も知っていた。

これは私を自分自身の思考から守るための方法で、...