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第249章

ヴァイオレット

「何の王だ?」カイランは眉を寄せ、まだ答えを探していた。彼の手は私の肩に置かれ、その視線は私に注がれている。「ヴァイオレット、お前はたった今までヴェールの中にいたのか?」

彼の言葉は一語一句聞こえていたけれど、集中できなかった。声さえ出せない。

「夜が、その王に冠を授けたの」私は囁いた。自分の言葉だとは思えなかった。意思とは関係なく、唇から滑り落ちていく。「そして、すぐに彼は私たち全員を求めてやってくる」

私は正面を見つめたまま、あまりにも速く回転する思考を捉えられずにいた。

「誰を求めて? ヴェールの中の全員か……俺たちを?」カイランは私を胸に引き寄せ、きつく抱きしめた。...