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チャプター 340

喉の奥が詰まるような思いだったけれど、私は平然を装って彼に微笑みかけた。「まあ、それは場合によるわね」と私は言った。一瞬、カイランみたいな口ぶりになってしまった――あれは彼のセリフで、私のじゃない。私はケイデンに目を細め、少し首を傾げた。「『いいこと』って、どういう意味?」

彼の視線がちらりとトリニティに向き、探るような眼差しが送られる。普段は大胆不敵なケイデンも、自分が侍女を下がらせたのに私が『侍女』を下がらせなかったことを不思議に思っているのだろう。だけどトリニティは、そんな言葉で片付けられる存在ではなかった。

トリニティは腕を組み、少しも怯むことなく彼を睨み返した。その表情はむしろ、や...