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チャプター 193

ヴァイオレット

「ヴァイオレット!」

はっと体を起こした。心臓が胸から飛び出しそうで、目は見開きすぎて顔からこぼれ落ちるかと思った。「な、何?」

ひどく疲れていた……疲れすぎていた。

ここはどこ?

私は、誰?

混乱したまま、隣の空いたシーツを手で探る。部屋に目を走らせた。ベッドは巨大で、一人には大きすぎる。床は誰も歩いたことがないかのように磨き上げられていた。

その時、思い出した。

私はライペリアにいる。宮殿の、カイランのベッドの中に。

途端に、昨日の出来事が一気に蘇ってきた。ケイデン、王様、ファーガスおじ様、そして私の手を握ったかと思えば次の瞬間には放してしまったカイラン。そ...