Read with BonusRead with Bonus

チャプター 192

バイオレット

あれほど広く感じた廊下が、今は狭く、まるで壁が迫ってくるかのように感じられた。両脇には衛兵が立ち並び、その視線は一挙手一投足を追っている。

はるか前方では、エリュクス王が民を従えてこちらへ歩いてくる。こちら側では、ファーガスが先頭に立ち、ブラッドローズの一団を率いていた。

王の歩みはゆっくりとしていた。急げば王冠が落ちてしまうとでも恐れているかのようだ。顎を高く上げている。そのすぐ隣にはベータのジャックがおり、その表情は王よりもずっと親しみやすかった。

まるで二つの嵐が真正面からぶつかり合い、中央で激突する寸前のように感じられた。

二つの集団がすれ違う直前、ファーガスが...